愛と革命を…ver3

恋愛コンサル(自称)事例解説 他仏教・歴史等

失敗の本質 継承される日本人のDNA 空気の文化等


さきほどのミッドウェイの件
fitzgerald1574.hateblo.jp




ちょい難しい話。

種は「失敗の本質」という本でした。
この書は太平洋戦争時の各作戦を抽出して、戦略、戦術、組織的要因、様々な角度から敗因を追及した名著です。



この書は大きくわけて
A戦略上の失敗要因
①あいまいな戦略目的
②短期決戦の戦略志向
③主観的かつ帰納的な戦略策定(空気の支配)
④アンバランスな戦闘技術体系
という構造になっております。

Bの組織上の失敗要因につきましては後日で(´Д`;)

①あいまいな戦略目的
ミッドウェイ海戦、レイテ海戦での事例
ミッドウェイ海戦
ミッドウェイ島攻略か敵空母殲滅か。
米国太平洋艦隊提督ニミッツに「二重の目的」と呆れられる。

※レイテ海戦
レイテ湾に上陸しつつある米海兵隊等の殲滅か
敵艦と艦隊決戦か。

大和、武蔵擁する栗田艦隊司令は艦隊決戦指向がぬけず、小規模の艦隊を追いかけ、レイテ湾突入を断念しています。


完全に作戦目標の統一性がないんです。大本営的にはフィリピン防衛は南方資源の輸送ルートの死守に繋がる戦略目標がありました。


②短期決戦の戦略思考
長期的戦争継続の見通しが無かったというのはご存知のとおり。
連合艦隊の目標はアメリカ艦隊に対して艦隊決戦を挑み、一挙に勝敗を決するという簡単なシナリオです。

山本五十六曰く
「是非やれと言われれば、初め半年や一年はずいぶん暴れて御覧に入れます。しかし二年三年となっては、まったく確信は持てません」
が象徴的であります。

真珠湾奇襲にも上記思考のクセが出ました。
陸上のタンク、工場などの施設に手をつけずに、第一攻撃だけで引き上げています。

短期決戦志向の戦略は一面で攻撃重視、決戦重視の考え方と結び付いています。
反面、防御、情報、諜報に対する感心の薄さ、兵力補充、補給・兵站の軽視となって表れました。

戦時の餓死者数割合が戦没者の60%強140万人は餓死であったことは驚きであり、日本軍の兵站軽視を象徴していますね。



③主観的かつ帰納的な戦略策定(空気の支配)
書曰く
日本軍の戦略策定は一定の原理や論理に基づくというよりは、多分に情緒や空気が支配する傾向があった。科学的思考すら持ち込まれなかった。

インパールの例
牟田口中将の「必勝の信念」に対し、補佐すべき幕僚は、もはや何をいっても無理だという空気につつまれてしまった。

※大和沖縄特攻作戦
作戦立案時に反対意見が強く出てました。
護衛機を持たないで、敵の制空権下で進撃しても沖縄まで到達不可能です。
しかし、理性的判断が情緒的、精神的判断に負けてしまいました。

軍令部の小沢中将は
「全般の空気よりして、当時も今日も大和の特攻出撃は当然と思う」と述べております。

つまり上層部や現場指揮官の会議上においては、
科学的思考、戦略的思考ではなく、情緒的、感覚的な「空気」が支配していました。


④アンバランスな戦闘技術体系
戦艦大和に代表されるような一点豪華主義をとるかと思えば、「風船爆弾」のようなねが作成され、投入されました。

なにしてるんだか?という感想が出てきます。

大和は対艦隊戦用に建造された艦ですが、対空戦闘に弱いのと、性能の悪いレーダーとそれにリンクした射撃管制システムが遅れており、挙げ句、海の藻屑になってしまいました。
ここに技術体系のアンバランスをみてとれます。


B組織上の失敗要因
①人的ネットワーク偏重の組織構造
②属人的な組織の統合
③学習を軽視した組織
④プロセスや動機を重視した評価


つきましてはまた後日で。


ちなみに上記戦略失敗の特性は現在の日本の組織、個人に継承されていると思います。そこで以下の概念を理解する必要があると思います。


参照・ethos
エートスは、住み慣れた場所や故郷のことであり、そこから派生する集団が 遵守する慣習や慣行であり、そのような慣習によって社会の成員によっ て、共有されている意識や実践のことをさす。エートスは集合的心情は、その当該文化の人たちの情動経験などというふうにも訳される。

端的に言うと、特定地域の文化慣習、精神的考え方の集合体であり、人々の意思決定や行動はこれに依る。